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オフサイド・バックパッカーズ(12)

(2)

部屋に備え付けのシャワーは、順番待ちや時間を気にして使う必要はない。旅慣れた友人から教えてもらった、ゴルフボールとタオルを使った排水口をふさぐ小技で、肩までタップリとはいかないが、行水程度にはお湯を浴びることもできた。

ホテルのエアコンの乾燥した空気が苦手で、ベッドに潜り込むタイミングで暖房を切ってしまう。でも、まだまだ寒さの残るドイツでも、3か月ぶりに思う存分お湯を使ったおかげで、毛布越しの寒気を気にする事もなく熟睡、フランクフルトで迎えた朝は、自分でも意外に思うほど早起きだった。

宿泊代込みの朝食の時間には早いが、二度寝するほどの時間でもない。持て余した時間をホテル周辺の散歩でつぶそうと、早朝の街に出た。大通りの中央分離帯の停車場に、「スタジアム行き」と表示されたSバーン(路面電車)が停車している。あまり深く考えず、好奇心のままに飛び乗った。

石造りの町並みを抜けるのにさほど時間はかからなかった。病院前と表示の停車場を過ぎると木々があふれる公園にさしかかる。終着を告げるアナウンスに追い立てられるように電車を降りた。

朝の散歩というには不釣り合いな格好の男たちの列が、三々五々、集まる場所を申し合わせてあったのかように公園の奥へと続いている。これまた好奇心のまま、さもここが目的地であるかのように振る舞い、列に加わってみた。ドイツ語が主ではあったが、時折中東系の挨拶が交わされる。

男たちの列は、コンクリートむき出しの、改装途中のスタジアムへと続いていた。

始業時間前の工事現場の空気は、驚くほど友好的な雰囲気であった。所々で煙草の煙が上がり、カードで小博打といった風情。あるいは、ポットに詰めたコーヒーを酌み交わす。そんな人達の間を抜けて、スタジアムの中に入ってみる。

全周が屋根に覆われているスタジアムの、独特の威圧感に圧倒されるというより、工事資材が山積みされたバックスタンドの先に見える緑の芝生の存在感に驚かされる。このスタジアムでは、普通に試合開催を続けながら、観客席をワールドカップが要求する基準へと、改築を続けているようであった。

改築が完了したメインスタンドと南北のサイドスタンド、コンクリートや鉄骨むき出しのバックスタンド、そして、良く整備された緑の芝生。そんな対比が、近づきつつあるワールドカップの気配を象徴するようでもあった。

先程まで、スタジアムの外で仕事前の楽しみに興じていた男達が、ヘルメットをかぶって仕事支度、そろそろスタジアムの中に入ってくるという気配を感じ、部外者としては、速やかにスタジアムを後にするという判断に間違いはなかった。

ワールドカップの気配を手土産に、折り返しのSバーンを待って、ホテルへと戻った。(つづく)

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