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兼六園近くの定食屋(完結編)

金沢市の兼六園近くの定食屋。勢いよくご飯をかき込む若者の姿をカウンター越しに見つめるまなざしは、まるでわが子の成長を祈る母のようだ。目尻を下げたその人がやさしく呼び掛ける。「おなかいっぱいになったかね」

声の主は村永清美さん(53)。一年半前に店を構え、「おばちゃん」と呼ばれる。視線の先にいるのは、今年から日本フットボールリーグ(JFL)を戦うツエーゲン金沢の選手達だ。

出会いは昨年の春。来店した体格のいい青年二人と初めて話した。「いろんなこと聞いたんやけどね。つえーげん? なんじゃいやって感じやった」

それから1年。食事の安さ、バランスの良さ、量の多さ、そしておばちゃんのはつらつさが好かれ、輪が広がった。顔触れが増えるにつれ、おばちゃんのほうもサッカーへの興味や知識が増した。今は店内にポスターを飾り、試合の新聞記事は切り抜く。

一人一人の好みを把握しているから、注文しなくても「おまかせ定食」が並ぶ。魚の骨を取ってあげることもある。閉店時間を過ぎても電話が鳴れば「待っとるわ」。JFL昇格がかかった入れ替え戦の日は、必勝祈願の力うどんで送り出した。

選手にとっては「家みたいな場所」。中には週6日通う常連もいて、毎日にぎやかだ。ある選手の実家からはトマト1箱が届き、調理して振る舞った。

おばちゃんの願い。一つは選手の健康。もう一つは「1回でいいから試合を見に行きたいね」。仕事柄、土日に休めない。店で素顔を見られるのと引き換えに、仕事場での真剣な表情に会えないのが歯がゆい。

それでも試合当日、おばちゃんは包丁を握りながら厨房でつぶやく。「あっ、そろそろキックオフの時間や」

 

練習場の駐車場で、コンビニのサンドイッチを詰め込むだけで練習に臨む姿を見たり、選手ブログの写真の夕食風景が某ファミレスだったり。夏バテで食欲が無くって、「今日も冷うどんだけでした」なんてブログのコメント。

ちょっと、選手の食事管理に不安を感じていただけに、こんなお店があるって知って、ホッと安心。試合後半の失速が減ってきたのは、“おばちゃん”のおかげかも? 

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