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オフサイド・バックパッカーズ(4)

第2章 ライン川

(1)

早朝というには少し遅く、かといって街全体が目を覚ますには早い時間帯に、ストラスブールの中央駅に降り立った。

中途半端な時間とはいっても、鉄道駅独特の雑踏に飲み込まれる覚悟でコンコースを歩くのだが、拍子抜けするくらいに人の気配が無い。船旅で忘れ去っていた曜日という感覚、日曜日の朝だと気付くまでには、ほんの少し時間が必要だった。

「駅のビュッフェでの朝食は期待できないな」と、国境越えのローカル電車の発車時刻を確かめた後、駅前広場を横断して旧市街へと向かった。

Strasbourg11

まだ、時計の動き始めていない商店街でも、パン屋だけはすぐに見つかる。すれ違う街の人達の紙袋から覗くフランスパンと、焼きたてのパンの香りに導かれるように小さな店先にたどり着いた。

カタコトのフランス語で、クロワッサンを2つ、昼食用も兼ねてバケットを一つ注文し、昨日の国際手荷物郵送料のお釣りのユーロ硬貨で支払った。

パン屋の店先に滑り込んできた、古い町並みには不釣り合いな新型路面電車の、片手にも満たないほどの乗客が、日曜日の朝には不釣り合いな、大型ザックを背負った東洋人を興味深そうに覗きこんだ。

街頭の切符販売機に、残りの硬貨を放り込み薄っぺらいチケットを引き出すと、早朝の旧市街をひと回りする路線の路面電車へと飛び乗った。

ザックに押し込んであった、エビアンの2リットルのペットボトルを引っぱり出し、喉の滑りを良くした後に、焼きたてのクロワッサンを突っ込む。3か月近く、長期保存でパサついたパンに慣らされた舌は、バターがとろけ出すような焼きたてのパンの満足感に満たされていく。

水路の多い街なかを、新型電車はほとんど揺れることもなく抜け、小さな菜園付きの週末別荘が立ち並ぶ一角を経て、再び中央駅近くの広場へと戻って来るのに30分はかかっていない。

国境越えの電車の発車時間も近いと、船の上では久しく使うことのなかった、10年来愛用のオメガの文字盤が示す。駅前のスタンドで、何とか読めそうな、写真の多いサッカー雑誌を買って、ローカル電車の発着コンコースへと向かった。 (つづく)

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